イチ*コイ
「……ぷっ」
「わあっ!…もう、最悪っ」
なんとなく美華に似てて、興味本意で俺も雨宿りすることにした。
隣に立つと、背丈が美華と似てて150ないくらい。
俯いてて顔は見えねぇ。
今……アイツは、何やってんだろ。
鞄からタオルを出して濡れてる部分を拭く。
ちらりと隣を見るとすげぇ濡れてる。
……タオル、持ってねぇのかな。
ふう…仕方ねぇ、これも何かの縁だ。
……なんて、ただ美華に似てるコイツに関わりたいだけだけど。
「……これ、どーぞ」
「え…あ、ありがとうございますっ」
小さく会釈をして顔を上げる。
柔らかくはにかむその女は――…
「――みは、な…?」
「……とう、ま…」
まさしく、俺の忘れられない女だった。
見つめ合ったまま、お互いに動かなかった。
いや…動けなかったんだ。
前より髪が伸びて、どことなく大人っぽくなった。
けど俺にはわかったんだ。
「うそ……っ!」
口を押さえて驚く美華。