イチ*コイ
長い髪も丸い目も柔らかな頬も
シャンプーの、あの花の香りも
何1つ変わっていなかったから。
腕を掴んで胸の中に閉じ込めた。
美華だ…本物の美華だ。
「斗真…夢じゃ、ない…?」
「ばっか、ンなわけあるか!」
夢だと言うなら骨が軋むくらい強く抱き締める。
嘘だと言うなら何度だってキスをするよ。
君を抱き締めて離さない…。
「ずっと…会いたかった」
「あたしも…」
この4年間、誰にも言わなかった言葉。
それは相手がいなかったからじゃなくて、相手がお前じゃなかったからなんだ。
だってほら…美華相手なら、伝えたくて伝えたくて堪らない。
「…愛してる」
「あたしも愛してる、よ…」
そして俺は、優しくキスをした。
恥ずかしい話、運命の相手ならまた巡り会える。
それが運命ってもんなんだろ?
だから俺たちは今、一緒にいるんだ。
―――――
「ほら帰るぞ」
「うん、ねえ斗真?」
「あ?なんだよ」
低い位置にある小さな姿を見下ろす。