イチ*コイ
ほんっとちっさい…。
これで本当に大丈夫なのか…?
「名前ね、決めたの」
「まだ男か女かもわかんねぇだろ?」
「わかるよ、きっと男の子だよ」
何を根拠に……。
まだ出てない腹を見る。
俺としては姉妹がいい。
男はパシられるから可哀想だし。
「大森 那智、よくない?」
「よくない」
「えーっ、何で!?
那智なら男の子でも女の子でもいいのに」
「だからまだわかんないだろ」
だいたい男が生まれたら…取られるだろ。
女ならまだしも、男はマザコンの資質があるからな…。
「いいじゃない、那智。
あたしと斗真の子供だもん、いい子に育つよ」
ふんわりと微笑む美華。
……子供だろうが、渡さねぇ。
「絶対ムリ。女だ女」
「だからー…くしゅっ」
カタカタと小さく震える肩。
身体、冷やしちゃダメなんだっけか。
「早く帰るぞ。
引っ越しの準備も終わってねぇし、2時までにはマンションに送んなきゃだろ」
「ふふ…うんっ」
小さな手と手を繋ぐ。
もう君を、離さない。