イチ*コイ



 こんな中身がうぜぇ女、同じ空気吸ってんのも嫌だ。

 いくら外見がよくたって、美華のほうがマシだ。


「ごめん、ごめんなさい…っ!
 もう何も言わないから!
 だから、別れるなんて言わないで…っ!」


 足にすがり付く乃亜を冷めた気持ちで見下ろす。

 こいつも、所詮こんな女か。

 俺がほしいのはこんな奴じゃない。

 弱そうに見えて、でも中身が強くて綺麗な奴。

 心が綺麗な奴、だ。


「俺が何しようがお前には関係ない。
 そうだろ?」

「…っ、は、い…」


 ぷるぷるした乃亜の唇に吸い付く。

 自然に口が開いて、ぬるりと舌を差し込んだ。

 絡まる舌はすげぇ激しくて、熱くて

 けど俺の頭は妙に冷めていた。

 そのまま乃亜を押し倒す。


「…ん、とぅ…ま…っ」

「…も、黙れば」


 あの変な感覚が

 俺をイラつかせる――…。







 荒々しく椅子に座る俺に、ビクつく美華。

 これでいいはずなのに…。


「っ…どうかしたの?大森くん」

「どうもしねぇよ」



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