イチ*コイ



「そ、っか…」

「美華ーっ」


 友だちに呼ばれて席をたつ。

 俺らの関係がどうだとか、周りの奴は知らねぇ。

 知っても意味ねぇしな。

 だから、なのか。

 ダチに呼ばれて笑う美華を見た。

 空でも見てんのか、2人で窓の外を見て笑っていた。


「もー、梢(コズエ)何言ってんのっ」

「美華だって思ったでしょー?」

「確かに思ったけどねっ」


 美華の自然な笑み。

 声出しながら、笑ったり。

 …ンな顔、俺の前じゃしねぇくせに。

 また出てきたイライラに舌打ちした。


「おーこわっ」

「…捻り潰すぞ」

「更にこえーよ!」


 カラカラ笑うコイツは、一応俺のダチ。

――櫻沢 廉(オウサワ レン)

 中学からの悪友。

 唯一、俺と美華の仲を知ってる。


「乃亜ちゃんみてーな可愛い彼女がいんのに何見てんだよ」

「…冷めた」

「はぁ!?何で!?」


 あーうぜ…。

 こーゆーとき、誰よりもうぜぇ…。



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