イチ*コイ



「所詮アイツもその辺の女と同じなんだよ」


 俺のモットーは『惚れられても惚れるな』

 つか、姉貴に刷り込まれたからだけど。


「斗真…だからってよぉ、九条ちゃんに手ぇ出すなよ?」

「はぁ?何で俺がアイツに手ぇ出すんだよ」


 俺はいつでも選り取りみどりだっつの。

 このクラスの女だって、根暗組と美華とそのダチ以外俺のこと気に入ってるし。

 リアルハーレムだっつーの。


「いや、最近九条ちゃん人気あるんだぜ?
 昨日だって告られてたし〜」

「だから何だよ?」

「…ふぅ、まぁいいけどさ」


 俺の机に座ってため息を吐く廉。

 相変わらずグチグチしたヤツだな…。

 ま、告られてんならいいじゃねぇか。

 俺の目的は、美華をモテ女にすることなんだから。


「九条ちゃん、呼ばれてるよー」

「?はーいっ」


 ちら、と目だけドアのほうに向ける。

 仄かに頬が赤い、確か水泳部のヤツ。

 あの様子じゃ、これから美華に告るんだろう。

 美華相手に汗だらだらじゃ、まだまだだな。



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