イチ*コイ
「ありがと!斗真大好きー!!」
抱きついてきた乃亜の頭を撫でる。
栗色の柔らかい髪。
シャンプーの花の香りが漂ってくる。
この匂い、好きなんだよな…。
さりげなく乃亜の鞄を取って歩く。
重…何入ってんだよ。
「ありがと、斗真っ」
「お礼は身体で」
「も〜ッ!!」
軽い冗談を交えて話す。
乃亜はいい。
可愛いし性格も明るいし、妙な嫉妬もしない。
きっと飽きるまでは付き合うんだろう。
そんなことを考えながら、乃亜を先に図書室に入れた。
授業以外じゃほとんど来ない図書室。
この、静かに響く音楽が眠気を誘う。
「俺あっち行ってるな」
奥のソファーを指差しながら乃亜に言う。
「うん、わかったぁ」
欠伸を噛み殺して進む。
そして1人掛けのソファーに崩れ落ちて、眠って行った。
小さな違和感に意識が浮上していく。
まだ寝ている脳をそのままに、辺りを見回す。