イチ*コイ
正論だ、言い返せないんだろう。
俺だって、ガキなりに納得した話なんだから。
アイツは嬉し泣きって、ボロボロになるくらい泣いたしな。
「それこそ、私に押し付けないで、だよ…」
「…、そうだな」
「でも、私も大森くんみたいに…
私が正しいって、思うよ」
少し挑発的なその目。
あぁ…やっぱりこいつは、俺を楽しませてくれる。
「勝手に思っとけ」
乱れた髪を直してやって、離れた。
あの真っ直ぐ俺を見る目。
こいつは、落ちぶれた女にはならねぇ…か。
いや、だから構ったんだ。
俺にとって最高のオモチャ。
「櫻沢くん、大丈夫…?」
「あ、ありがと九条ちゃん」
廉に手を貸す美華。
そーゆーことはしなくていいんだよ…。
「ンなことしなくていーんだよ」
「え、でも…」
「斗真うるせーぞ!
九条ちゃん――いや、美華ちゃんの優しさだろー」
そんな廉に笑う美華。