イチ*コイ



「っ…、大森くんッ!!」


 咄嗟に出された手。

 ああ、俺は何番目かの女にいわれた通り…

 最低最悪、なんだろう。

 気付いたら俺はその手を掴んでいた。

 俺より小さいから、当然のように2人落ちていく。

 廉の驚いた顔が小さく見えた。

 けど2人で落ちる時間は正確に、急速に過ぎていった。


「くそ…っ!」

「大森く…っ!」


 美華の頭を強く抱きしめる。

 俺もコイツも、まだ死ぬわけには行かねぇんだ…っ!

 俺らの人生、まだまだ長いんだよ。

 なぁ、いねぇだろうカミサマ。

 助けて、くれ――…







「…く…!…ん!おぉ…!」

「…ぅ、」

「もりく…ね、」


 …誰だ、この声…

 あぁ、思い出した…。


「みは…な、?」

「大森くんっ!大丈夫っ!?」


 やっぱ美華だ…。

 て、何かこれ前にもあったろ…。


「怪我ない?」

「…お前は?」

「私は大丈夫、だけど…」


 上体を起こす。


「っ…!」

「大森くん?」

「…何でもねぇよ」



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