イチ*コイ



 やべ、右足首…捻ったかも。

 美華にバレねぇように平静を装う。


「ここどこだ?」

「地図で見たけど、真っ直ぐ落ちてきたみたい。
 ここら辺かな…」


 遠足のしおりの裏にある地図を差す。

 よくンなモン持ってんな…。


「多分、このまま真っ直ぐ行ったらちょうど降りてくるところだと思う…」


 何故か美華はコンパスを見比べて言った。

 何でコンパスなんて持ってんだっつーの…。

 突っ込む気にもなんねぇし。


「歩ける?大森くん」

「おう」


 力を入れて立ち上がる。

 体重を支える足首が軋んだ。

 それでもバレねぇように歩き出す。


「?…大森くん、どうかした?
 歩き方、可笑しいし…右足首、かな?」

「…別に何ともねぇって」


 何でこーゆーときは鋭いんだよ…っ!


「嘘!絶対可笑しい!見せて!」

「おい…っ!」


 勝手に下ジャー上げられて見られたら諦めるしかねぇ。

 はあ…と、大きく大きく、ため息を吐いた。


「腫れてる…!」



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