イチ*コイ
「気にすんなよ、元々は俺のせいだろ」
いや、廉のせいか。
あいつが余計なこと言わなきゃ…。
「やっぱりここで待ってよう?」
「は?あっち行かなくていいのかよ」
向かっていた先を指差す。
イマイチ先は見えねぇけど…な。
「うん、だって…
迷子になったらその場から動かない、って言われてるし」
「ふ、迷子じゃねぇだろ…」
腹の底から笑いが込み上げる。
笑う度に足首が痛んだが、気にならなかった。
俺のため…なんだろう。
わざわざ言ってこないところに美華らしさを感じた。
「座って待ってよ?」
「おう」
あ、そーいやケータイで廉に連絡すりゃよくね?
ポケットに入れてたケータイを取り出す。
「げ…っ」
「?どうしたの?」
「ケータイ…壊れてる」
「えっ?!」
液晶画面がばっきり割れていた。
俺のケータイが…。
「仕方ねぇ…。
お前のケータイで誰かに連絡しとけ」