イチ*コイ



「…えと、それが…」


 気まずそうに目を逸らす美華。

 …まさか、いやこの予感は当たっちゃダメだろ…っ!!


「携帯…持ってきてない、の」

「おまっ…携帯しないで何が携帯電話だよっ!!!!」

「ひっ!ご、ごめんなさいっっ!!」

「はぁーも…どーすんだよ…」


 連絡手段ないんじゃどうしようもねぇじゃねぇか…。

 これって遭難なのか…?

 解決策が思い浮かばなくてイライラする。


「大森くん、」

「あぁ?」

「っ!」


 あ、やべっ!

 つい睨んじまった…。

 固まった美華を見て、ため息が出てくる。

 今何するかわかんねぇんだから、関わんなきゃいいのによ…。

 なのに、震えながら笑いかけるから…。


「あめ、食べる?」

「…」

「糖分って、疲れたときとかイライラしてるときにいいから…。
 えと、味はね〜」


 袋を見ながら1つ1つ説明していく。

 関わんなきゃいいのに、…な。


「…マスカット」

「マスカットね!はい」



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