イチ*コイ



「痛む?て、当たり前だよね…」

「…そんなに気にすんなよ」

「気にするよっ!」


 涙ぐみながらリュックを漁る美華。

 何がしたいんだか…なぁ。


「湿布ないから、これで我慢してね…」


 そう言ってペットボトルの水をタオルに溢す。

 軽く絞ってから、俺の足首に添えた。

 こんなことよく思い付くな…。


「…さんきゅ」

「ううん、ごめんね…。
 あたしが足手纏いになっちゃったのかもだし…」

「だから気にすんなって、」

「でも…」


 んでまた涙目になる。

 …その顔、やばい。

 実は美華って、俺の好みに変えたんだよな…。

 ゆるふわの巻き髪とか、香水とか…。


「そういやお前、ちゃんと香水つけてる?」

「え、えと…忘れてて、」

「やっぱな…。
 けど何かいい匂いする」


 鼻を美華の髪に近付けた。

 花の香り…シャンプーだ。

 乃亜の使ってるのと同じか。


「大森く…、ちか…近いぃっ」

「あ?」



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