イチ*コイ



――九条 美華

 同じクラスの、ぶっちゃけダサい女。


「九条…だよな?ほんとわりぃ」

「あの!その…痛かった、わけじゃない…から」

「は?」


 じゃあ他に何かあんのかよ。

 くそ、謝り損じゃねぇか。


「…そうか」

「この本、すごく感動しちゃって。
 だから…大森くんのせいじゃない、よ」

「本に感動なんて…すんのか?」


 そういえばこいつ、朝読のとき真剣に本読んでるよな。

 俺はいつも寝てるけど。


「するよ!あ…大森くんみたいな人は、しないかもだけど」

「ふーん…。ま、とりあえずもう帰れば?」

「あ、うん…そうだね」


 先に出入口まで行く。

 けどドアのそばで待っとく。

 一応女だし…な。


「大森くん、帰らないの?」


 透き通った目が俺を見上げる。

 …目は綺麗なんだな。


「送ってくよ。
 1人じゃ危ねぇだろ?」

「え、いやいや…私なんて狙う人存在しないから大丈夫だよ」


 まぁ…確かに。



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