イチ*コイ



 …これが最後の小銭。

 頼むから、来いよ…。

 クレーンを操作して、ンでやっと…!


「っしゃ!」

「すごい…っ!」


 出てきたブサウサの首を掴んで、美華に突き出す。

 目を丸くするバカは、やっぱバカらしい。

 何千円も使ってすごいわけないだろ…。


「…早く受けとれよ」

「…え、あたしに…?」

「当たり前だろ」


 いい加減イラついてきて、ソレを押し付けた。

 どこに惹かれたのかわかんねー、ブサウサを。

 けど美華にとったらそんなにイイモンだったのか、

 少しずつ顔を上げて…笑った。


「ありがとう…え、と…斗真、くん」


 けどすぐに俯く美華は、やっぱり美華で

 こびりついて離れない、笑顔を振り払った。


「メシ、行くか」

「うんっ」

「どこ行く?」


 人が多い中を、かわしながら歩く。

 ときどき、ちゃんと付いて来てるか確認しながら。


「ファミレスでいいよ。
 この子のお礼に奢るから…」



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