イチ*コイ



 お世辞でも細いとは言えない足に、150くらいの身長。

 いたとしたら相当なマニアだけだな。


「いや、けど…」

「ほんと大丈夫だから!じゃあ!」

「あ……」


 速くはないけど離れてく背中。


「…ラッキー」


 送んなくてすんだ。

 送るって言いながらもめんどくせぇんだよな。

 他の女も九条くらい手間かかんなきゃな…。

 てか九条って、もっと痩せてたらモテんのになぁ…。

 そんな考えに鼻で笑って、図書室を出た。







―――――







 朝、遅刻ギリギリに教室に着けば、静かに本を読む九条。

 声をかけてくる奴等を適当に流して、自分の席に向かう。


「よう」

「…」


 また無視か…ッ!


「九条、」

「…え、あ…おはよう」


 名前を呼べばこちらに向く顔。

 …顔立ちは悪かねぇんだよな。

 肌も綺麗だし。


「お前何ですぐ返事しねぇんだよ」

「あ、もしかしてさっきおはようって言ったの私に?
 ごめん、他の人に言ってるのかと思って…」



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