イチ*コイ
「いってらー」
「やっぱな…」
突っ伏したまま片手をひらひら振る。
廉はクソ真面目に昼間のバイトをしていた。
このクソ暑ぃ中、俺には理解出来ねぇけど。
廉には、昼のほうが合ってる気がした。
きっと正反対だから、何だかんだ上手くいくんだろうな…。
廉が出ていったあと、櫻沢家には俺1人。
ケータイを弄りながら寝るために体勢を変えた。
そのとき、ふと思い付いた顔。
…アイツは今、何やってんだ?
いや…真面目だから、面接練習だな、うん。
だんだん瞼が重くなって、俺は眠っていた。
「ふぁ…」
でかい欠伸を1つ。
それから小さく息を吸った。
やっぱ俺には、夜のほうが合う。
夜のほうが息がしやすかった。
「とーまっ!」
薄暗いホールの中、声をかけられる。
ふと顔を上げると…見慣れた奴がいた。
「乃亜…こんなとこ来んなよ」
「こんなとこって…斗真のバイト先でしょ」
苦笑する乃亜を見た。
タンクトップの重ね着に黒のレザーのミニスカート
それからピンヒールのミュール