イチ*コイ



「斗真、交代だぜ」

「あ、はい」


 この人はバーテンのケイさん。

 本人曰く、まだ見習いらしいけど。

 明るすぎる金に近い髪を後ろで1つに結んでるのがチャームポイントだ。

 左に3コ、右に2コのピアスがきらりと反射して光った。

 服のセンスもいいし、まじ憧れる。

 男の俺から見てもすげぇカッコいい。

 ――そんなケイさんは、かなりのシスコンだ。


「ちょっと座って話聞いてくれよ、」

「はあ」


 カウンターに移動して座った。

 妹の話長いんだよな…。

 出された烏龍茶を1口飲んだ。


「この間久しぶりに家帰ったらさ、元から超超超可愛い妹がさらに可愛くなっててさ!
 もう俺、どうすればいいと思う?
 アイツの可愛いとこは俺だけ知ってれば良かったのにさ、そんな変わるってことはやっぱり好きな奴でも出来たのかな?」


 止まらないマシンガントーク。

 妹の話になったらいっつもこうだよ…。



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