イチ*コイ



 デレデレ笑うケイさんは直視できるものじゃあない。

 普段のクールさを知ってるんなら、尚更。

 ほんと、どんだけ妹が可愛いんだか…。

 1つため息を吐いて、烏龍茶を飲み干した。

 ケイさんの家族構成は妹以外不明だ。

 だって妹のことしか話さないから。

 まあ自分のこといろいろ言わないとこも大人の男って感じで憧れるけど。


「ごちそーさま」

「つけとくからな」

「げ…奢りじゃないんっすか」

「当たり前だろ」


 フッと笑う顔はシスコンモードと大違い。

 前髪を掻き上げる仕草に周りの女たちが息を飲む。

 まあ…ホモじゃねぇけど、気持ちはよく分かる。

 180以上ある割には細くて、でも実は筋肉質なカラダ。

 居眠りしてソファーから蹴り落とされたときはビビったぜ。

 こんな力あったのかよ…みたいな。

 キツい仕事は俺にばっか回してくるから。

 軽い嫌がらせだろうけどな。

 ケイさんは、そんな人だ。







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