イチ*コイ
誰かを傷付けずに別れる方法なんてない。
それでも乃亜は今までの女とどこか違ったから。
簡単に切り捨てられないのかもしれない。
――でも俺は大森 斗真だから。
他人なんてどーでもいい。
1、2回頭を撫でて放す。
「斗真…諦めがつくまで、好きでいていい…?」
「…好きにすれば?」
俺はもう、気持ちには応えてやれない。
めんどくせーから相手もしねぇし。
…廉に何か言われそうだけどな。
「じゃあ帰るか」
「斗真は先に帰って?」
「は?でも…」
「いいから!帰って…?」
…気まずいっつーことか。
女1人で帰らせんなって言われるけど…しゃーねーな。
「気を付けて帰れよ」
「うん…」
少し歩いて…足を止めた。
本当にこのままでいいのか?
犯罪とか巻き込まれたらどうする?