イチ*コイ



「はぁ?」


 だから返事しなかったのかよ…。

 まあ確かに今まで話したことねぇけど。

 名前だって隣だから覚えただけだし。


「普通返事するだろ」

「だって他の人に言ったなら恥ずかしいじゃん…」


 …変な女。

 俺が何か言ったら他の女は構わず返事すんのに。

 やべ、なんかキョーミ湧いていた。


「九条って彼氏いるっけ?」

「はぃ!?い、いないけど…」


 お、ちょっと赤くなってる。

 まぁまぁ可愛いじゃん?


「好きな奴は?」

「いない、けど…?」


 あぁ、口元が緩んでいく。

 俺の、完璧な計画に。


「――俺がお前をモテ女にさせてやる」

「………はぃ?」


 何故か人に壁を作ってる九条。

 いつも壁を作ってる俺と、少し似てる。

 こんなにキョーミが湧く奴は、初めてだ。

 ――俺の計画はこうだ。

 俺の力で九条をモテ女にする。

 そして変わった九条がどうするのかを、見たい――


「…何でわざわざそんなことするの?」



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