イチ*コイ



「ありがとう…」

「よし!」


 何だこの茶番。

 いつの間にこんな仲良くなったんだ…?

 美華も楽しそうだし…むかつく。


「でも誰が斗真と2人3脚やんの?
 アタシ以外と練習してなくない?」

「あ…」


 グラウンドの中央を見ると、中坊のリレーは終わっていた。

 あと1つ…。

 早く集合場所行かねぇと…。


「美華ちゃん行きなよー」

「え、わ、私!?」


 あ…まだ“私”じゃん。

 つーことはそこまで素じゃねぇってことか。


「つかコイツじゃ足の長さ足んねーだろ」

「し、失礼だなぁ…っ」

「ほんとのことだろ?」

「そうだけど…」


 膨れっ面になる美華。

 ククッ…ほんと、遊びがいがある。


「はーあ…仕方ないから九条ちゃん行って?
 これから他の人探すのムリだしぃー」


 おお…この女、案外まともに喋れたのか…。

 相変わらず香水くせぇけど。

 美華とやんのかよ…。


「ほら2人とも、早く集合場所行けよ。
 んじゃ山川行くかー」

「うん…じゃーねー」



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