イチ*コイ



 苦笑しながら出してきた左足と、俺の足を縛る。

 取れたら面倒だから強めに。

 少し引っ張ってほどけないか確認する。

 …うし、大丈夫だな。

 ぼーっとしながら、順番が来るのを待った。

 とうとう競技が始まり、俺たちはすぐに並ぶ。

 2組目に1組目が近付く。


「いいか?左足からだからな」

「うん、わかった」


 10…9…8…7…


「行くぞ!」

「うんっ」


 左足を出す。

 引っ張られて…頭から突っ込んだ。


「ってー…っ!」

「ったぁ…っ!」


 周りが爆笑し出す。

 俺は左からっつったのに…!


「左からっつったろ!」

「だから左から行ったよ…!」

「俺が左足なんだからお前は右足だろ!」

「じゃあそう言ってよ…っ」

『おーと!3ー6の3組目、足並み揃わず早速転倒です!
 しかも喧嘩を始めました!』


 うるせーなこの放送部…!

 俺たちが口論している内に他のクラスがやって来る。

 ぶっち切り1位だったのに…。

 立ち上がってたすきを受け取る。



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