イチ*コイ



 ふと視線をズラした先に、シルバーのストラップが並べられていた。

 シルバープレートにはイルカやサメなんかが彫られていて、女も男も大丈夫そうだ。

 キラキラした目を思い出して、手を伸ばした。

 …けど、やめた。

 何か美華にしてはシンプルすぎる。

 つかどっちかっつーと俺が欲しい。

 けどお土産とか買ったら、姉貴うるせーんだよな…。

 自分の分なかったら暴れるし。

 だから…うん、やめるか。

 美華探して違う店行こう。

 ぬいぐるみ欲しいっつってたし。

 あー…連絡先交換しとくんだった。

 連絡することねーし、お互い知らねーんだよな。

 とりあえず出入り口のとこにいたらわかるか…。

 そう思って移動した。


「斗真くんっ」

「…あ、いた。
 お前はぐれてんじゃねぇよ」

「ご、ごめん…っ」

「…次の店行くぞ」


 頭にチョップを下してさっさと進む。

 後ろで唸り声聞こえたけど無視。

 これでも手加減してやったほうだ。

 有り難く思えばかやろー。

 それからほとんどの店を回って、結構買い込んだ。



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