イチ*コイ



 自分の気持ちに、気が付いてしまった。

 俺は美華が…好きなんだ。

 きっと、ずっと前から。


「あ、そうだ!
 櫻沢くんがね、今日斗真くんの誕生日だって教えてくれたんだ」


 そう言って鞄の中を探る。

 その姿を見ながら考えた。

 いつから…美華のこと、好きだったんだろう?

 遠足のとき?それとも…

 美華が告られてんの見たとき?

 睨むように俺を見上げてきた瞳と

 周りの声も聞こえないくらい真剣だった横顔。

 もしかしたら…図書室で涙を見た、あのときからかもしれない。

 美華は他の女とは違う。

 そう感じたから俺は…素でいれたのかもしれない。


「あった、…イルカショーのとき、すごく楽しそうだったから…
 イルカ、好きなのかなって思って」

「それはお前だろ」

「だ、だって可愛いんだもん…!
 て、違くてっ!」


 からかったら、想像した通りの反応が返ってくる。

 自然に笑みが零れた。

 もしかしたらこれが…幸せ、なのかもしれない。



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