イチ*コイ
腕の中のぬくもり
「あーもう、あのときほんとに傷付いたんだから!」
「は、何でお前が」
俺だって…なんて、言えねぇけど。
言ったらからかわれるに決まってるし。
コイツまじで性格変わったからなぁ…。
「だって…好きなのに、嘘吐いて笑ったし」
「…我慢してたもんな」
小さな頭を撫でる。
この、シャンプーの花の匂い。
やっぱ好きだ…落ち着くし。
「けど、アイツのおかげでまたこうなったし」
腕の力を強めた。
密着した身体から体温が伝わってくる。
小さな鼓動も…。
「…うん」
「いろいろあったけど、全部アイツのおかげじゃね?」
「うん…そうだね」
風でページが捲れた。
文化祭、球技大会…たくさんの思い出が詰まってる。
切なく狂おしく…愛しい、思い出が――。