イチ*コイ
3†君に届くまで、
―消えない傷
あー…タバコ吸いてぇ。
吸ったら、このモヤモヤもなくなんのかな。
…タバコなんて、吸ったら姉貴に殺されっけど。
俺って、案外そーゆーとこマジメだから。
―ギィ…ッ
古びた音が響き、背中でそれを受け取る。
「…斗真、」
「…よう、」
ゆっくり立ち上がって振り返る。
そして、その女を睨んだ。
「何か…用?」
「…言わなくてもわかってんだろ?
――…乃亜」
びくりと震えた身体。
やっぱな…美華がああなったのはコイツのせいだ。
「乃亜の気持ちに答えてあげて」
美華はそう言った。
噂に疎くて鈍感な美華が気付くはずない、そしたら理由はたった1つ。
――本人に言われたから、だ。
「斗真は…本当にお姉ちゃんのことが好きなんだね」
「……」
「あたし見たんだよ、お姉ちゃんと斗真が裏庭で喋ってたの。
斗真のあんな顔初めて見た」
裏庭…俺と美華が?
そんなとこ……あ、もしかして美華が告られたときの…?
大分前じゃねぇか。
「だからこそ…お姉ちゃんにだけは渡さない!」
「っ…お前、」