イチ*コイ



 途端に歪んでく乃亜の顔。

 前とは全然ちげぇのな。

 姉貴、人間見た目が全てって話、ちょっとちげぇかも。

 だってこいつ、どう見たってブスだからよ。


「…何言って」

「美華はな、いっつも人に気ぃ使ってるけど、それはアイツの優しさなんだよ。
 お前なんかが利用していいもんじゃない」


 俯き出した乃亜を見詰めながら話す。

 いや…睨み付けながら、の間違いか。

 美華がこんな奴の言うことを聞くだなんて。

 あいつにはお仕置きが必要だな。

 泣き叫んで許しを請うまでいじめてやる。


「あいつはお前と違って、純粋で人の痛みがわかる奴なんだ。
 お前がそばにいていい奴じゃねぇんだよ」


 ……なんて、俺も人のこと言えねぇか。

 乃亜ほどじゃねぇけど、俺だって美華に比べれば汚い。

 そんな俺でも美華は笑いかけてくれる。

 会いたい 会いたい、美華。

 今すぐお前を抱きしめたいよ…。

 お前を苦しめるものから、俺が守るから。

 だからまた…笑って、くれよ…。



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