愛しの魔王様!!~最強ヤンキーボーイvs最弱チキンガール~
…だが、今のこの状況。
「人っ子一人いなぁぁあああい!!」
いなぁぁあああい!!
なぁぁあああい!!
ぁぁあああい!!…(エコー)
空に向かって叫んでみると、虚しく響く自身の声。
…そう、普段なら賑やかなはずこの公園。
何故か今現在、まったく人の気配がしないのだ。
いつも私と同じように散歩に来ている人達から、それこそ普段ならそのへんで見かけるハトや野良猫なんかまで。
おかしい、絶対何かがおかしい…!!
例えるならばそう!すべての生命体が何かの存在を恐れ、息を潜めているような…
「チ、チビ、今日は公園行くのやめとこっか…」
うんやめとこう!なんかアレ、私の中のチキン本能が警報ガンガン鳴らしてるもの!
が、そんな私の願いも虚しく。
「わんわんっ!!」
「ちょ、チビカムバァアアック!!!」
まったく怖気づく様子もなく、それどころかどこか嬉しそうに公園の奥に消えるチビ。
もちろんいくら私がビビリだって、愛するチビを見捨てるわけにもいかず。
恐る恐る、いつもとは明らかに雰囲気の違う公園の中に入っていった。