夏色ララバイ
偶然という名の運命
「………最悪」
朝ポケットに入れていたはずの携帯がない。
バンバンと左右のポケットを何度叩いても、買ったばかりのお気に入りのバッグをひっくり返しても、お目当てのソレは見つからなかった。
「仕方ねぇか」
小さく溜め息をつくと周りを見渡す。
携帯電話の普及で忘れ去られたようにポツンと影に存在している公衆電話に手をかける。
そして暗記していた11桁の数字を押していく。