プリンス♂×プリンス♀【短】
ずっと想っていた人にそんなことを言われて
嬉しくないワケはないんだけど・・・
今まで何の接点もなかったはずの彼、
あたしは一方的に思いを寄せていただけの彼から、
イキナリそんなことを言われる意味が分からない。
スローテンポで回転している頭は
まだこの状況を飲み込めない。
「どうして君かって?」
あたしの心境を察したかのような先輩の言葉に、大きく頷く。
「――ずっと、見てたんだ。サッカー部にキレイな子がいるなって」
何かを思い出すように桜の木を見上げて言う彼は
そこにいるだけで、とてもカッコイイ。
「いつも周りに人がいて、その中心にいる君は、とてもキラキラして見えた。
僕なんかには手の届かない、高嶺の花だって思ってたよ」
「・・・えっ」
驚いた。
彼の口から出た言葉は、
あたしが今まで彼に対して抱いてきた想い、そのものだったから。