プリンス♂×プリンス♀【短】
視界を歪ませる涙を慌てて拭ったあたしは、
顔を伏せて口を開いた。
「・・・・安心して下さい。全部聞こえてましたから」
「違うんだ、望夢」
弁解するようにあたしの腕を掴んだ先輩のそれを、
勢いよく振り払う。
その拍子に、手に持っていたチョコの包みが宙を待った。
「悪かったね。
卒業まで“バツゲーム”に付き合ってやれなくて」
吐き捨てるようにそう言ったあたしは、
それ以上耐え切れずにその場から駆け出した。
あたしを呼び止める先輩の声が聞こえたけど
そんなの、もう
どうでもいい。