百地外伝~夢と希望
だって、学年一位って言っても、満点だよ。
その先は無いんだ。
翔を知るあたしは、別に驚かないけどさ。
多分これは藤林の家系。
おじ様も、凄い物知りだもの。
大学は出てないけどね。
東京に出て美容室を始めた時も、一週間勉強して資格を取ったって聞いた。
カットの仕方とか、パーマの薬品の種類とか、美容やヘアケアの方法とか。
みんな専門学校行って勉強するくらいだもの、結構難しい筈だよね。
「じゃあ、百地君のはどうなんですか?」
「あっ、俺の場合は努力と勘」
って、こちらもぶっきら棒に答えてる。
百地も四百九十五点。
立派なもんだよ。
「う~、僕の努力は届かなかったってことですか?」
って、ユタは唇噛み締めて悔しがってる。
あんた、マジ?
「ユタ、あんたも凄いじゃない!
五位だよ、五位。
あたしから見たら、あんたも雲の上の人だよぉ」
あたし、ユタの肩をポンポンと叩いた。
「夢子に言われても嬉しくありませんよ」
あたしだって、頑張って、三百五十二点。
中の中ってとこ。
あたしにとっては十分満足領域でしょ。
全ては翔のお陰。
それで満足して、何が悪いのさ。