百地外伝~夢と希望
外を見ると、校庭にはすでに人影はかった。
陸上部の練習もどうやら終わったらしい。
一階の下駄箱まで降りてゆくと、翔と百地、二人が傘たてに腰を下ろして何やら話し込んでいた。
「かけるっ!」
あたしは何故かいつもより数段大きな声で翔に声をかけた。
「あっ、夢子、待ってたんだぁ、まだ靴あったからさ」
翔の笑顔は何時もどおりで、なんだか安心した。
「藤林さん、丁度良かった。紹介するね。
こちら文芸部の部長、三年の園部紫苑先輩です」
すかさず前に進み出て、ユタが紫苑先輩を紹介した。
「あっ、紫苑です。ヨロシク」
「紫苑先輩、こっちが藤林翔さん、で、こっちが百地忍くん。
二人とも陸上部の次期エースなんです」
「へぇ~」
「で藤林さん、折り入ってお願いがあるんだけど……」
って、ユタ、もうここで切り出すんですか?
何がなんでもって感じだね。