百地外伝~夢と希望
式の間中、あたしは必死に考えてた。
『何で、百地があたしの名前を知ってるのかな?』って。
やっぱり、<根来>関係?
でも、あたしの名前は平凡な田中だし。
それとも誰か共通の友人がいるとか?
人見知りのあたしに、そんな友人の心当たりなんてないし。
はぁ~
式が終わる頃には、あたしの頭はもうぐったり。
だって、わかんないだもん!
「新入生退場!」
の掛け声の下、来た道を戻り教室へ。
みんなが席に着くガサガサとした混乱に紛れて、あたしは翔の許へと駆け寄った。
「翔、あたしの王子様、百地だった……」
折角小さな声で翔に伝えたのに。
「ええぇ~っっ!」
翔、声大きいって……
あたしは思わず俯いた。