百地外伝~夢と希望
「君は?」
「はじめまして、僕、田中さんや小林君と同じクラスの百地忍です。
この度は無理を言って参加させて頂きます。宜しくお願いします」
百地は大きく頭を下げた。
「今時の若者にしては、随分と礼儀正しいんだな」
「いえ、本当は母が御挨拶に出向くのが礼儀なんですが、生憎と弟の合宿に同行して留守なので……」
「いや、礼儀などどうでもいいんだ。
紫苑があんなに嬉しそうに笑ってる。その顔が見れるだけでこっちがお礼を言いたいくらいだよ」
サングラスをかけた小太郎先生の目の表情までは伺い知れないけど、その声は微かに震えているようだった。
その様子に気づいているのは、多分……、あたしと百地、の二人だけ。