百地外伝~夢と希望
「夢子、百地、そんなとこで何してんのさ。これから海の方行くってさ」
翔が大きな声であたし達を呼んだ。
「夢子、行こう、翔が呼んでる」
耳に届いたその声に驚いて、百地の顔をじっと覗き込んだ。
「何そんな驚いてんだよ、ゆ・め・こ。
俺も文芸部の合宿に参加したからには、お前のこと夢子って呼んでもいいよな」
「えっ、まぁ、べつに、いいけど……」
「小林もユタって呼んでやるかな」
百地が嬉しそうに笑った。
何でもお見通しの百地。
百地には、あたしのこの高鳴る胸の鼓動まで伝わってしまうのだろうか。