百地外伝~夢と希望
「僕、全然気が付かなくて……
目が覚めたら浮き輪しか浮かんでなくて、夢子の姿が見えなくて……
そしたら、百地君に抱きかかえられた夢子が水から上がってきて……
夢子ってば、ぐったりして動かないし……
百地君が人工呼吸して……
夢子、もしかして溺れてた?
死ぬとこだった?」
ユタの身体は、そう言いながら小刻みに震えていた。
「もう大丈夫だ、心配すんなって。
それより、ユタ、タオル取ってきてくれ」
百地の声にユタがパラソルに向かって駆け出していく。
海からは翔と紫苑先輩が血相を変えて上がってきた。