百地外伝~夢と希望
「夢子……」
翔の顔には、明らかに苦悩の色が浮かんで見えた。
「ごめん、翔」
なんで謝ったのかわからない。
きっと、あんまり翔が苦しそうにしていたせいだ。
「俺が夢子を一人にしたせいだ……」
「違うよ、あたしが馬鹿なだけだよ」
「違うっ! わたしのせいよっ!」
あたし達の言葉を遮って、全ての責任を引き受けたのは紫苑先輩だった。
「わたしがもっと良く注意していれば……
この入り江は急に深くなる場所があるのに、ごめんね夢子……」
そう言った紫苑先輩の目には、涙が浮かんでいた。
ユタが持ってきたタオルで百地があたしの身体を優しく包み、そっと抱きかかえてリクライニングチェアに寝かせてくれた。