百地外伝~夢と希望


「しお~ん」


見上げると別荘から、小太郎先生が血相変えて降りてくるところだった。

アロハシャツに短パン、首からは大きな双眼鏡を下げて。


「はぁ~、この坂は年寄りにはきついな。

夢子ちゃん、大丈夫かい?

上から一応監視はしていたんだが、あんまり急な展開でどうにもこうにも僕には何もできなかった。

本当にすまない。

やはり横着せずに、一緒に浜に来るべきだった。

それにしても、百地君の素早い行動には恐れ入ったよ。

夢子ちゃんの姿が見えなくなったと思ったら、もう彼の身体は君を救出するために動いていた。

あっという間に浜に引き上げて、見事な救命処置だった」
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