百地外伝~夢と希望
「一日違いで生まれた俺と夢子は双子のようなものなんだから」
確かに、あたしと翔は一日違いに生まれたの。
勿論それは偶然で。
翔は根来。あたしは東京。
離れた土地で、それぞれ別の生活を送っていたわけで。
見た目も性格も全く違うあたし達が、双子だなんて、それはやっぱり無理がある。
「それホント?」ユタがあたしの顔を見た。
「うん、あたしが一日だけお姉さん」
「ふぅん、で、いつ?」
「八月十三日と十四日」
「もうすぐじゃん」
「そうだね」
もう一度あたしは翔に向かって手を伸ばしたけど。
翔の腕は強ばって固まったまま、あたしの差し出した手を受け付けない。
見かねた百地が、翔の背中をそっと押してくれた。
勢いついて一歩だけあたしに近づいた翔が、やっとあたしの手を握った。