百地外伝~夢と希望
「翔、また一緒に誕生日しようね」
夏休み、いつも二人で誕生日を祝ってた。
他に誰もいなくたって、翔がいればそれで十分だったんだ。
それなのに、あの時、あたしは翔の名じゃなく、百地の名を呼んでしまった。
きっとそれがこんなにも翔の気持ちを傷つけてる。
「今年は勿論、みんなで祝うよな?」
百地が突然声を上げた。
「そうですよ、知ったからには、盛大にお祝いさせてもらいます」
ユタが真剣な表情で宣言する。
「わたしも、混ぜてよね」
紫苑先輩が遠慮がちにみんなの顔を見た。
「翔、今年は賑やかな誕生日会になりそうだね」
翔の手を握りながら、あたしは翔の答えを待っていた。
不安な気持ちで翔の顔を見上げる。
翔……
じっと俯いていた翔が、しっかりとあたしを見つめかえし、握る手に力をこめた。
「うん、みんな仲間だもんな」
「今更なに言ってんだよ」