百地外伝~夢と希望
「無理すんなよ」
何処からともなく百地の声がして、あたしの頭をくしゃっと撫でた。
一瞬にして、身体全体が安心感で満たされる。
顔を上げると、百地が心配そうにあたしの顔を覗きこんでいた。
「大丈夫、もう完全復活。あたしって結構立ち直り早いんだ」
「それでも、今日一日は静かにしてろよ」
「そうそう、百地の言うとおり、まだ先は長いんだから」
「了解」
と、あたしは二人に向かって小さく頷いた。
身体に変な力が入っているせいか、一歩一歩がぎこちない。
繋いだ手に力が入る。
それでもなんとか、短い距離を歩ききって、別荘の中へと足を踏み入れた。