百地外伝~夢と希望
「で、百地はここまで。
俺、夢子を風呂に入れるから」
「おう、翔、よろしくな」
翔に連れられて、シャワーを浴びに浴室へ向かった。
着せられていたバスローブを脱ぎ、水着を脱ぐのに翔の手を借りてた。
身体に思うように力の入らないあたしは、すっかり子供に戻ったようだ。
翔はあたしを座らせると、黙って優しく髪を洗いはじめた。
生物は皆、海から生まれてきたというのに、何故、陸に上がってしまったんんだろう?
水の底から眺めた陽の光は、ダイアモンドを百万個散りばめたように美しかった。
もっとずっと見ていたいって思ったんだ。
翔があたしの髪をすく指先が、水底から上昇する時の心地よい水流に重なる。
あんなに苦しくさえなければ、ずっとあそこにいても良かったのに……