百地外伝~夢と希望
「夢子?」
どうやら、あたしの意識は随分と遠くへ行っていたようだ。
「あっ、ごめん、翔、ありがとう」
あたしの髪をゴシゴシと拭く翔に、申し訳なく微笑んだ。
「夢子、何で百地はあんなに早く夢子を助けに行けたんだと思う?」
「えっ?」
「だって、俺達が潜ってた場所からは、丁度大きな岩が邪魔になって、夢子が溺れているのが見える筈なかったんだ……」
「翔?」
「俺にはちゃんと話してよ」
翔の真っ直ぐな目に、嘘はつけない、と思った。