百地外伝~夢と希望


「翔?

翔はあたしの大事な親友で、大事な家族だよ。

翔がいなくちゃ、あたし生きていけないよ!

つなぎに過ぎないって、それどういう意味?」


「俺にとっても、夢子は大事な親友で、大事な家族だよ。

でも、それとこれとは話が違う。

巫女に付き添う守護者は男であると昔から決まってる。

だから俺は、夢子に本当の守護者が現れるまで、夢子を守るとじっちゃんに誓ったんだ」


「藤林の長に?」


「そう。夢子は風さんの予知夢によってこの世に誕生した。

それは夢子が巫女である可能性を示唆していたんだ。

だけど、その時点では誰が夢子の守護者であるのかは、長にも知る手だてがなかった。

だから、俺が夢子と一日違いで生まれた日、俺が女だとわかると、長は、夢子が守護者に出会うまでの間、俺に夢子を守る役割を託したんだ」
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