百地外伝~夢と希望
「おはよっ、夢子、もう大丈夫?」
食堂の扉を開けるなり、紫苑先輩がハグしてきた。
あたしの顔は、紫苑先輩の豊かな胸に埋まって息苦しい。
先輩の身体からは、ほのかに甘いバラの香りがした。
「一晩ぐっすり寝たから……、まだ眠いけど」
あたしはそう言いながら、必死にもがいて開放された。
「ハイキング、行けそう?」
それでもまだ心配そうに覗きこまれた。
「はい、もう行く気満々です。ホラ」
と、あたしはグルッと一回りして、ハイキング用にと着替えた姿をアピールする。
「良かった。でも無理しないで。途中具合が悪くなったら直ぐ言ってね」
そう言って紫苑先輩が優しく微笑んだ。