百地外伝~夢と希望
「それじゃ、みなさん、全員そろったので、いただきましょう。
朝食後、お弁当のお結びと水筒を各自持って、9時に出発します!」
紫苑先輩がキラキラと輝きながら宣言した。
あたしは、空いていた百地の隣の席に腰を下ろす。
「おはよ、夢子」
百地が無遠慮にあたしの頭をぐしゃっと撫でた。
「体調はいいみたいだな。そのぶっちょう面は、ただ眠いだけか……」
何?
その手は体温計ですか?
あたしの頭を撫でたのは、あたしの体調を見るためですか?
何だか全てを見透かされてるようで、あたしは全くいい気がしない。
別段、隠すこともないけどさ。
「ホント、お前って、表裏がないのな」
と、呆れたように百地が呟く。
あたしは百地と目を合わせないよう、黙々と朝食を平らげた。