百地外伝~夢と希望
「我々伊賀の忍者の中には、何世代かに一人、彼のように『他心通の術』に長けた者が生まれる」
「はぁ~、何でさ?」
「その者が生まれる時、それは大きく時代が動く時。
そういう言い伝えが、伊賀にはある。
百地心波の場合、それは戦争だった」
「それって、戦国時代の間違いじゃね?
飛行機やミサイルが飛び交う時代に忍者も糞もないだろっ!」
「とんでもない!
元来、忍びの仕事とは、諜報員の仕事と等しい。
情報を収集して分析し、味方を有利な方向に導くのがその仕事だ。
『他心通の術』に長けてるということは、それだけで優れた忍びの証ということだ」
「はぁ~、マジかよ。
俺らそんな話聞いたことないぜ」
幼い頃から無理な修行を強いられたせいか、翔は忍者の世界の話があまり好きではないのだ。