百地外伝~夢と希望
でも……
『えっ、あたしが居なくても大丈夫なの?』
『あぁ、じっちゃんも俺達の居所が分かったんで、力を加減してくれてるらしい。
もう耳鳴りなしに声が聞こえるよ』
『そっか……』
あたしは急に気持ちが萎えて、繋いだ手の力を緩めようとしたけど、百地はそれを許さなかった。
『勘違いすんなよ、お前が必要なことに変わりはない』
心に響く百地の声に、ズンと胸の奥を突かれた気がした。
「お疲れでしょう?
さあ、みなさんでお弁当をいただきましょう」
顔を赤らめて戸惑うあたしを横目に、佐藤さんはそう言うと、広場に向かってズンズン歩き出した。
そして、ここぞという平らな地面に向け、脇に抱えていたとびっきり大きな花ござを勢い良く広げた。
即席の宴会場が出来上がる。
みんなで大きな花ござの上に車座になり、お結びを頬張った。
ちょっぴり強めの塩味が、疲れた身体に心地良く染み渡る。